家の解体は多くの人にとって人生で一度経験するかしないかだと思います。

そのため、家の解体工事という分野は世の中の大多数の人にとってはわからないことだらけです。

実際に、家の解体工事におけるお客様の不安材料はおおまかに以下の3つであることがほとんどです。

  1. 料金
  2. 業者選び
  3. トラブル等の不安

以上の3点を軸に家の解体に関する予備知識を備えて、最終的に大満足で終われる損しない解体工事の助けになれば幸いです。

解体工事の費用(相場)と業者選びの注意点

1.解体工事の料金の内訳

解体工事における一番の不安材料として、料金が何円くらいかかるのかという業界の相場がわからないことだと思います。

人生で一度経験するかしないかの同様のケースとして、マイホームの購入がありますが、こちらは住宅業界各社の広告を目にしない日はないほど大きな市場規模ですので、家の大きさやグレードに応じた大まかな相場が把握できます。

土地はさらに明確な評価額の基準が設けられていて、基本的にはどの不動産屋に依頼しても最終的な買値や売値が評価額から大きく変動することはありません。

しかし、家の解体工事は土地の売買や住宅購入という目的のために“必要”なだけです。

要するに、解体工事は“NEEDS(必要)”であり、“WANTS(欲しい)”ではありません。

日常生活全般で欲しいわけではないけど必要な商品やサービスで購入頻度が極端に低い業界の相場はヴェールに包まれていると言わざるを得ません。

引き合いに出すものではないかもしれませんが、似たケースとして葬儀費用も近いものがあるかもしれません。

しかし、こちらは親族や友人から情報を得られるケースも多く、最近では最低料金を広告や看板に表示している業者も多いので解体工事よりも相場を把握しやすいと思います。

家の解体は、大多数の人にとって必要に迫られる可能性はあるけど、日常的に身近にない未知の領域になると思います。

ですので、いざ必要性が生じた場合に情報不足による損失を防ぐために、まずは解体工事でどのような名目で費用が発生するのかをお伝えします。

一般的な個人の住宅の場合、基本的な名目は以下の3つになることが多いです。

  • 家屋の解体工事費
  • 足場養生費
  • 諸経費

順番に詳しく説明していきます。

①家屋の解体工事費

こちらは、家そのものの解体工事にかかる費用です。

家の他に倉庫や物置小屋、カーポートや樹木の伐採などがあれば別途、費用が必要になることが多いです。

現在、弊社を介して行われる一般的な木造家屋の解体工事費の相場は税込で3.5万円/坪(床面積)前後になることが多いです。

仮に建坪が30坪の家だとしたら税込で100万円~120万円となります。

これは家屋そのものの解体工事費用となり、こちらの金額にプラスして以下の料金がかかる場合が多いです。

②足場養生費

足場養生費とは解体工事で発生する粉塵が近隣に飛散しないよう(多少の防音効果も)に家の周囲を足場を組んでシートで囲む作業です。

基本的には解体業者が提携する足場業者に依頼して組み上げることが多く、「1平米あたりいくら」といった面積で料金が決まります。

養生する側面の外壁の横の長さ×高さの面積に相場の1000円/m2(業者や設置期間等によって異なります)を掛けた金額となります。

それの面数分の合計が足場養生の料金となります。

家の形によって各面それぞれ面積は異なると思いますが、仮に家の左右と裏の3面を養生するとして左右それぞれ9m×8m、裏側12m×8mを例に計算してみます。

左右7.2万円×2  裏9.6万円で合計24万円となります。

周囲に何もないような田舎の場合だと不要なケースもあったり、隣接する住宅の面だけを養生するなどケースバイケースで変わります。

加えて、依頼する足場業者やプランによって料金、質が異なり、安価な業者に依頼するとグラついたり、風でシートが捲れる、シートの防音効果が低いなどといったケースもあります(すべての安価な業者の質が悪いわけではありませんが、安心できる業者は相応の料金がかかります)。

③諸経費

諸経費とは、工事に必要な上記以外の作業等にかかる金額です。

諸経費として一括で計上されたり、細かい名目別に計上されたり、計上されないこともあります。

これは工事内容や業者によって変わります。

通常は、現場に面する道路の交通整理が必要な場合や、各種手続き、近隣への挨拶回りなど工事に必要な周辺業務諸々が諸経費として計上されることが多いです。

30坪の家屋の解体費用の相場

以上、①②③を合計すると、だいたい100万円~160万円の間くらいになります。

それが延床面積30坪(約100m2)の住宅の解体費用の相場となります。

もちろん、特殊な環境や地形で重機搬入やトラックの出入りが困難な環境等で手壊し解体となってしまう場合などは上記金額より割高になるケースもあります。

特殊な作業や通常よりも長い工期を要するなどが割高となる理由です。

加えて、近年の増税をはじめとした、燃料費高騰などの物価高や賃上げ等の影響により、解体工事の料金も10年ちょっと昔に比べると高額になっています。

弊社のお客様の中でも解体工事を過去に経験されたお知り合いから

「うちは80万円でやってもらったからそれは高いよ~」

とのお話を聞き、金額をもっと安くきるのではと相談されたこともありました。

お話を聞くと、そのお知り合いの方が解体工事をされたのは15年ほど前(本記事執筆2023年を起点)のことでした。

昔よりも解体工事が高い理由

日本は、長らくデフレ化にあり、物価の上昇をほぼ経験してこなかったため、値上げにはとてつもなく過敏に反応します。

特に、私(1985年生まれ)くらいの、物心がついた頃にはバブルが崩壊していて、子供の頃に食べていたお菓子の値段がつい最近まで同じ値段というものがほとんどでした。

話がそれましたが、15年前と現在では消費税だけでも2度も増税されています。

「5%が10%に増えたからといって、解体工事の料金がそんな数十万円単位で変わるものか?」

そうお思われるかもしれません。

解体工事だけを見れば、5%の消費税の時に80万円でできていた工事が100万円を超えてくるのは一見するとおかしな話です。

しかし、解体工事に必要な要素を細かく分けて見た場合には、重機や車両そのものもそうですし、それを稼働させるための燃料、廃材の処分など、各工程すべての消費税が5%から10%に上がっていますので、5%の時には80万円弱(税抜)で請け負う事ができた工事も10%になると90万円(税抜)近い金額で請け負わないと成り立たないといった現象が起こるのです。

要するに、同じ工事をするにも工程それぞれが高額になっているということです。

仮に同じ解体工事があったとして、昔は80万円(税抜)、今は90万円(税抜)で、同じだけの利益を業者が出せると仮定します。

その時点で10万円の差があります。

さらに、実際にお客様が納める消費税も当時は5%なので、80万円の課税額4万円を加え84万円ですが、現在は10%の課税額9万円が90万円に上乗せされますので、99万円となります。

極端な例で説明しましたが、業者の儲けが同じだと仮定した場合に、消費税が5%から10%に上がることで、お客様の負担は消費税額だけでも+5万円、支払い総額で+15万円も負担が増えてしまう、そういうイメージです。

消費税が5%から10%に上がれば、従来の価格から5%だけ高くなるというのは有り得ないことで、お客様に商品やサービスを提供するに至るまでの全ての過程で5%+αずつ負担が増えているわけです。

2013年には280円だった吉野家さんの牛丼(並)は2014年に8%に増税された際に20円値上げされました。

しかし、数ヶ月後には380円にまで値上げされています。

その後、2021年に消費税が10%になると426円(店内飲食)に値上げされています。

もちろん、消費税増税だけが値上げの影響ではありませんが、間違いなく大多数の企業が値上げに踏み切らざるを得ない要素の大部分を担っていると考えられます。

加えて、先ほどもお伝えした通り、ここ数年でその他の各種税負担も増えたものがほとんどですし、円安等の為替の影響、最低賃金も上がり人件費増、重機や車両など工事の工程における必要な要素すべてに当時よりコストがかかります。

“今現在”の解体工事の相場を知ることが重要

このように時間を遡っての工事料金、相場の比較はいかに無意味であるかおわかりいただけたかと思います。

今、このタイミングの各社の見積り金額を比較する必要があるということです。

第三者から聞いた過去の料金と今現在の見積料金とを比較し、業者探しや交渉をしても疑心暗鬼に陥ったり、無駄な労力を費やしてしまい、結果として不利な条件での着工となってしまう恐れもあります。

確かに、解体工事業者の中には一般的に相場が認知されていないことや、ネットで調べても近場の解体業者が出てこないことも多いため、お客様が相見積もりを取れないのをいいことに、相場より高額で制約させられてしまうケースも多いです。

しかし、だからと言って、昔の相場を軸に適正価格を判断できないのも上述した通り、お客様にとってマイナスに作用します。

大事なのは、“今現在”の各社の見積金額を比較し、正しい情報を持った上で金額面と信頼性のバランスの取れた業者を選ぶことです。

2.業者の選び方

料金の次に気になるのが解体業者選びだと思います。

費用は最小限に抑えたいのは当然ですが、料金だけを業者選びの基準にしてしまうと取り返しのつかない事故や訴訟問題に発展する恐れもあります。

一般的な住宅の解体工事を請け負う場合、各都道府県の解体工事業登録もしくは建設業許可が必要です。

それら資格の保有は最低限として、近年では外国人だけで作業している現場もあり、近隣への配慮に欠けるどころか、隣接する建物の一部を損壊したり、歩道に面した建物で通行人も往来する中で安全対策を怠った見るからに危険な作業をする業者が問題になったケースもあります。

2023年9月には東京都品川区で外国人業者による危険な解体工事がSNSで問題視され、ニュースにもなりました。

最終的に行政によって危険だと判断され、停止命令が出されましたが、この工事では隣接するマンションの柵を破壊していたり、工事中に発生する瓦礫の上に重機が乗り上げ周囲に瓦礫が溢れた不安定な状態で放置されていたり電線にロープを括り付けてユンボのアームの上に乗って作業をしたりと無茶苦茶でした。

料金の安さだけで選ぶと、トラブルや大事故に発展させる違法業者の被害に遭う可能性もあります。

見積金額も大事ですが、見積もりに来た担当スタッフが親身になってお客様の細かい要望や気にかけていなかった点まで専門家としての立場から聞き出して、わかりやすく整理して確認してくれるかといった点も、それをしなかった時に発生するトラブルを考えるとお値段以上に重要な要素かもしれません。

3.トラブル等の不安

料金の安さだけで業者を選ばないこともそうですが、工事業者との事前の打ち合わせとその内容に則った契約を交わすことも非常に重要です。

工事をトラブルなく進行し、お客様と工事業者の両者が気持ち良く工事を終えるために双方に認識の不一致があってはならないからです。

一般のお客様が空家の解体工事を検討される場合、土地の売却のために更地にした方が高く売れると不動産業者から伝えられてというケースが多いと思います。

その際にその土地をどんな状態にしておく必要があるのかを具体的に聞いておき、解体業者にもその状態にしたい旨を具体的に伝える必要があります。

もしくは、解体後に建て替えを検討されている場合には、その家を建てる工務店に解体後の更地をどの程度整地した方が良いのかも聞いておいた方がいいと思います。

たとえば、建物を解体後してみると面した公道より土地が低くて上から砂を加える必要があるケースがあったとします。

このような場合、事前に解体後の整地についての言及がなかった場合、

解体業者は「解体してある程度地面を平らに均して終わり」

不動産業者(工務店)は「更地は面する公道と同じ高さで綺麗に整地されている」

お客様は「不動産業者(工務店)の希望通りの状態に解体業者はしてくれる」

と、三方それぞれ異なった認識をしてしまっている可能性があります。

これの何が問題かというと、解体後の土地が不動産業者(工務店)の希望の状態ではないため、上から砂や砂利を足す必要があり、その負担を誰がするのかという点です。

解体業者も整地を簡素化した分料金を安くしているかもしれませんし、不動産業者(工務店)も解体後の土地が面する公道より低い状態で渡されるとは思っていないかもしれません。

当然、お客様にそんなこと予測できるはずもありません。

ただ、現実に3者のうちの誰かが負担をする必要があるということです。

そうなるとトラブルに発展する可能性が高いです。

もちろん、そういったケースが起きないよう事前に対策している不動産業者(工務店)も解体業者も多いと思いますが、割と起こりうるケースでもあります。

そのようなトラブルを未然に回避するためにも、不動産業者(工務店)に解体後の整地などの具体的な土地の状態をどうすれば良いか聞いておき、解体業者にその旨を伝えた上で見積を出してもらうとこのようなトラブルは防ぐことができます。

要するに、見積金額にどこまで含まれるか等の内容を明確にし、工事業者と事前に擦り合わせをしておくことでトラブルの多くは防げるということです。

また、建物の下の地中の埋蔵物があったことが取り壊してみて初めてわかるケースがあります。

その際の出現した埋蔵物の処理は別途請求されるのか、見積金額に含まれるかは一旦置いておいて、解体工事で建物の下の地中から埋蔵物が出てくることなどお客様には普通は想定不可能です。

しかし、プロの業者にとっては、それは想定可能な出来事なので、業者側から「建物下から埋蔵物が出てきた場合はその分、別途請求します」と見積金額の他に別途請求する可能性がある要因についてはお客様に伝えておくべきです。

ただ、すべての業者の担当スタッフが100%お客様目線で仕事ができるとは限らないので、お客様側の自衛の手段として、「見積とは別に費用が発生するケースはありますか?」と契約前に聞いておくとトラブルが減らせます。

そして、そのケースに言及した一文が契約書に明記されている事や内容に相違がないかのチェックまでやっておくとより確実です。

トラブル回避のために事前に確認を

家屋の解体に際してセットで発生することが多い

  • ブロック塀の解体
  • 樹木の伐採
  • 井戸のお祓いと解体
  • 建物下地中の埋蔵物の処理
  • 整地の仕上げ方

などの細かい部分は事前に工事業者と細かい確認をしておいた方が良いです。

近隣住民への配慮は必須

また、お客様と業者間だけでなく、近隣住民の方々とのトラブルを避けるために解体工事で迷惑をかけないよう最大限努める必要があります。

解体工事では騒音が必ず出ます。

周囲を養生シートで囲んでいても音は申し訳程度にしか防ぐことができません。

騒音に関しては防ぎようがないので、事前に隣接するお宅へは挨拶に行くのが最低限のマナーだと思います。

その際に、

工事日程◯月○日~○月○日迄

時間:何時~何時迄

と、工期や工事時間と、騒音や粉塵等でご迷惑をお掛けする旨を記載し、何かあった時の担当者の緊急連絡先等を記した案内書を担当者の名刺と菓子折りを添えて挨拶に伺うのが工事業者としてのマナーだと個人的には思っています。

特に、建て替えで同じ土地にその後も引き続き住まれる場合はご近所の方々への配慮は重要です。

しかし、中にはご近所への挨拶等をお客様に負担してもらうことで、その分料金を安くできる業者もいます。

ただ、日頃お客様から直接工事を請け負うことが少なく、他業者の下請けや入札で仕事を獲得することの多い業者等は現場近隣の方々へ挨拶をするという概念がそもそもなかったり、はじめから挨拶回り等をお客様に負担してもらう前提で格安でやっている業者もいます。

認識違いによるトラブルを回避するためにも、ご近所の方々への挨拶回りに関しては契約前に事前に工事業者に尋ねておくと確実にリスクを減らせると思います。

また、解体現場が公道や他人の私有地と境界が曖昧になってしまっているケースもあります。

土地を相続したお客様では境界を判断できないのに、そのまま着工してしまうと大きなトラブルに発展しかねません。

このようなケースも事前に自治体等に確認しておくと安心です。

解体工事をするにあたって、他にも細かい注意点を挙げればキリがないのですが、初めて解体工事を検討するに際して最低限知っておくと損せず、トラブルも激減させることのできる内容をお伝えしました。

加えて、解体する家屋の場所や地形等によって自治体から補助金が給付される場合もありますので、工事予定の家屋が対象となるかを事前に自治体の担当部署に相談してみることをおすすめします。

はじめての解体工事を損せずに安心した状態ではじめたい方はお気軽にお問合せください。

080-9054-2667 熊本空家110番 担当:吉田

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